ワークライフバランスとは何?意味・定義をわかりやすく解説


社員の定着にワークライフバランスがいいと聞いたり、社員の要望でワークライフバランスと言われたりするものの、結局どういう意味なのかよくわからない方も多いのではないでしょうか。今回はワークライフバランスの意味と定義、そして社員の定着のためには何を目指せばいいのかについて解説いたします。

ワークライフバランスの意味はなんでこんなにわかりにくいの?

そもそもワークライフバランスの意味はなんでこんなにわかりにくいのかを少しだけ説明しますね。

ワークライフバランスの定義は実ははっきりと決まっていません。「人それぞれ」なのが現状です。

ワークライフバランスという言葉はイギリスで生まれたと言われています。日本にはそれに合う言葉がなかったので、そのままカタカナで使うことになりました。

もちろん「なんとなく意味合いではこういうことなんだけど…」というのはあるのです。そしてそこが経営していく上でも、日本社会においても必要な部分なのですが、一言で伝えるのは難しいのです。

いざ、ワークライフバランスについての話をしようというときには、定義や意味がわからないまま使うわけにもいきません。

そこで、みんな自分なりの言葉にします。内閣府ではこういう定義、厚生労働省ではこういう定義、大学教授の方はこういっている、コンサルタントはかみくだいてこう言っている、というように、自分の立ち位置によって少しずつ変えています。

この記事の一番下に一応まとめて置きましたので、興味のある方は見てみて下さい。みんなそれぞれ言い方は違いますが、言いたいことは同じです。

ワークライフバランスってどういう意味?

今お伝えしたように、ワークライフバランスは人によって定義が違います。でも「人それぞれなんです!」ではワークライフバランスの意味が伝わらないので、「人それぞれ」の中の共通点を3つまとめました。

ワークライフバランスとは?

  • 会社と社員がWinWin
  • 多様性を認める
  • 今だけでなく一生で考える

この3つが揃っている会社がワークライフバランスを実現できている会社といえます。

ワークライフバランスとは「会社と社員がWinWin」

1つ目のポイントは会社と社員がWinWinということです。ワークライフバランスを福利厚生だと考えている方も時々いらっしゃいますが、ワークライフバランスは会社の業績をあげる経営戦略の1つです。

わかりやすい例をあげると、ライフでしっかりと睡眠時間をとることで、ワークでは質のいい仕事ができるとか、趣味のゴルフで知り合った人に営業に行ったら商品を購入してくれたとか、私生活の時間が仕事に好影響を与えることは多々あります。それを利用していこう!ということです。

特に重要なのがアイディアです。もっとこうしたら仕事の質があがるのではないか、お客様が喜んでくれるのではないか、といったアイディアはライフが充実している人の方がよく思いつくのです。

そもそも、消費者の視点を持たずして、お客様が喜ぶサービスを考えろと言う方が難しいと思いませんか?

ワークライフバランスは「多様性を認める」こと

2つ目のポイントは多様性を認めるということです。育児や介護をしている人も、独身貴族で趣味を愛する人も、仕事ばっかりしていたい人も、どんな人でも活躍できる環境が、ワークライフバランスを実現している会社です。

ライフにどんなことを抱えていても、会社で活躍できるように配慮してあげることが、今の時代の上司には求められています。

「プライベートを仕事に持ち込むな!」というのは、もう古い考え方で、社員皆に私生活があり、私生活が仕事に悪影響を及ぼさないようにきちんと話をしておく、逆に私生活をどうしたら仕事に活かせるかを工夫する。これがワークライフバランスです。

「今だけでなく、一生で考える」ことがワークライフバランスには必要

3つ目のポイントは、今だけでなく一生で考えることです。

時々求人広告で、「ウチは育児をしているママが9割!ワークライフバランスのとれる会社です。」と書かれているのがありますが、使い方としてちょっと間違っているかもしれません。

9割も育児をしている社員なのであれば、おそらく子どもが大きくなり手が離れると、その会社を辞めてしまうのでしょう。つまり、ママが働きやすい環境にはしているが、ママではない人には働きにくい環境になっているのではないか?ということです。

ワークライフバランスの実現した会社とは新卒でも、育児をしていても、介護をしていても、何もしていなくても、きちんと活躍して働ける会社です。

だからこそ、勤続年数を長くすることができますし、優秀に育ってくれる社員がずっといてくれるのです。

中小企業が目指すべきワークライフバランスとは

私はいつも社員が定着するためにワークライフバランスを導入しましょうとお伝えしています。特に中小企業は人数が少ない分、社員一人一人の力がとても大切です。

一生懸命育てた優秀な人が、プライベートに何かあったことで辞めてしまわないように、そして、生き生きと仕事をし続けてもらえるようにサポートすることが、会社の業績UPにつながります。

それでなくても社会全体が人材不足です。採用コストも人件費もどんどん上がります。優秀な社員は逃さないように徹底しましょう。

若い世代は自分の生涯を見据えて会社を選びます。この会社では子どもを産んだら働けないな、今のうちに転職しておきたいな、ということを、結婚の予定が全くない状態でも考えます。

今はそういった考え方を学生時代から教えられている時代です。優秀な人ほど、私生活に何を抱えてもこの会社なら働き続けることができる、責任のある仕事をしていける、という会社を求めています。

目指すべきは「ワークライフシナジー」

最終的に目指すべきはワークライフシナジー、つまり仕事と私生活の相乗効果です。私生活の経験などを仕事で活かせるようにします。「私生活が充実している人ほど会社の利益」という状況です。

ワークライフバランスというと、よく効率化の話が出てきます。今までやってきた仕事の量や質を落とさずに、もっと短時間で終わらせるように工夫するという、なかなかハードな取り組みです。

そうすることで全社員が早く帰り、私生活の時間を充実させ、もっと質のいい仕事ができるようになるという流れです。

仕事と私生活の相乗効果、という考え方は時間に制約のある社員にとっては、本当に救われる気持ちになります。現に私も救われた1人です。

育児と両立している社員の多くが、会社に迷惑をかけていると悩みます。「仕事も育児も中途半端」というのは働くママなら一度は感じたことがある思いでしょう。

優しい人ほど、その本音を言わずに会社を辞めてしまいます。ですが、育児をしているからこその特技やアイディアはあるのです。よく言われているのは時間の使い方が上手になるというものですね。そういった部分にもっと焦点を合わせてみよう!ということでもあります。

とはいえ、いきなり相乗効果と言われても、ピンと来ない!そんなの理想論!という方がほとんどではないでしょうか。実際に経験してみなければ、しっくりくることはなかなかないと思います。

まずは最低限対応できるように

ですので、その前の第一歩として、ライフに何かを抱えた社員に対応できるようにしておきましょう。

例えば、家族が体調を崩したので有給を取りたい、と急に言われた時に問題なく対応できますか?対応できる社員は何人いるでしょうか?お客様を待たせることになったりしませんか?

前向きに受け入れる体制を整えましょう

次にライフに何かあることを前向きに受け入れる体制を整えることです。

例えば、育児と仕事の両立をしている社員の場合、子どもが熱をだし、急な欠勤や早退になることがあります。周りの人はその人がやるはずだった仕事をやってくれますか?嫌味や愚痴を言ったりしていないでしょうか?

大切なのは「お互いさま」の気持ちです。自分もいつか欠勤や早退をすることはある、その時には助けてもらうのだから、お互いさまだということです。

仕事の密度を重視しているか、というのも1つのポイントです。

仕事の密度のことを「労働生産性」といいます。短時間で帰ったとしても、ダラダラ働いている人よりも1時間にこなしている仕事の量や質が高い場合には、短時間で働く人の方を評価するのです。

ついつい夜遅くまで仕事をしていると、頑張っているね、と言いたくなりますが、きちんと中をみて評価しなければ意味がありません。そもそも会社として支払っている給料から考えると、密度高く仕事をしてくれた方が、利益は大きくなります。ダラダラ仕事をして残業代の割増賃金を支払うなんて、人が良すぎますよ。

社員の意見はどんどん採用しよう

社員の意見は積極的にきき、採用してみましょう。意見がいいやすい、風通しのよい職場は定着率が高いです。職場への不満を改善することでの定着率UPにもなりますが、仕事のやりがいにもつながります。そして私生活での経験や、その経験から生まれたアイディアをどんどん聞いてみましょう。ワークライフシナジーにつながりますよ。

働き方見直しをしよう!

こういったワークライフバランス(ワークライフシナジー)を目指す方法が働き方見直しです。ぜひ、このサイトを参考にしてやってみてください。働き方を変えるのは、反対方向に回っている歯車を回し直すようなものです。最初はちょっと負荷がかかり重たいかもしれませんが、一度回ればスムースに回りますし、いい効果が生まれます。ワークライフバランスの良さをぜひ実感してみてください。

参考、ワークライフバランスの定義一覧

政府

内閣府:「ワーク・ライフ・バランス憲章」(2007年12月)

国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域社会などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて、多様な生き方が選択・実現できる社会。

内閣府・男女共同参画会議:「仕事と生活の調和に関する専門調査会」(2007年7月)

老若男女誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、さまざまな活動について、自ら希望するバランスで展開できる状態。

内閣府:「子どもと家族を応援する日本」重点戦略会議(2007年6月)

個人が仕事上の責任を果たしつつ、結婚や育児をはじめとする家族形成のほか、介護やキャリア形成、地域活動への参加など、個人や多様なライフスタイルの家族がライフステージに応じた希望を実現できるようにすること。

厚生労働省:「仕事と生活の調和に関する検討会議」(2004年6月)

個々の働く者が、職業生涯の各段階において自らの選択により「仕事活動」と家庭・地域・学習などの「仕事以外の活動」をさまざまに組み合わせ、バランスの取れた働き方を安心・納得して選択していけるようにすること。

イギリス(ワークライフバランスはイギリスで生まれた言葉と言われています。)

英国貿易産業省(DTI)

「年齢,人種,性別に関わらず,誰もが仕事とそれ以外の責任,欲求とをうまく調和させられるような生活リズムを見つけられるように,就業形態を調整すること」

(引用:英国におけるワーク・ライフ・バランス——両立支援策と企業パフォーマンス—— 脇坂 明)

大学教授

中央大学 佐藤博樹 先生

社員がWLBを実現できている状態とは、

「会社や上司から期待されている仕事あるいは自分自身が納得できる仕事ができ、

なおかつ仕事以外でやりたいことや取り組まなくてはいけないことにも取り組めること」

である。

(引用:「介護離職から社員を守る ワーク・ライフ・バランスの新課題」佐藤博樹 矢島洋子 「職場のワーク・ライフ・バランス」佐藤博樹 武石恵美子)

※WLB=ワークライフバランス

佐藤先生は東京大学の名誉教授でもあり、現在は中央大学で「ワークライフバランス&多様性推進・研究プロジェクト」をされていらっしゃいます。

学習院大学 脇坂 明 先生

「1990年代後半に英国で生まれた。当時、トニー・ブレア労働党政権が「ワーク・ライフ・バランス・キャンペーン」を打ち出し、労働者と企業がWin-Win(双方がハッピー)になるという意味でWLBという言葉をつくった。日本では、内閣府男女共同参画会議において、WLBが定義されており、そこでは「老若男女誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発等、さまざまな活動について、自ら希望するバランスで展開できる状態」であるとされている。」

(引用:「労働経済学入門ー新しい働き方の実現を目指して」脇坂明)