経営者の方とお話していると、どうして社員がうちの会社を辞めたがるのかわからないと言われることがあります。
お給料を高くしてみたけれど…福利厚生も考え直したんだけど…また人が辞めてしまった…もうどうしたらいいのかわからない…そんな風に悩んでいる方も多いようです。
社員が会社のここがイヤ!と言ってくれれば、出来る部分は直すし、出来ない部分は話し合えるのですが、意外と「社員が会社を辞めたい理由を知る」というのは難しいですよね。
そこで今回はよくある退職理由をご紹介しようと思います。あなたの会社で同じようなことは起きていませんか?見直すときの参考にしてくださいね。
目次
社員が会社を辞めたい本当の理由を知るのは難しい
前提として、みなさんは社員が会社を辞めるときに退職理由を聞いていますか?その言葉をどのくらい信用しているでしょうか?
実は、残念なことに、社員が本音で会社を辞めたい理由を話すことは少ないです。仮に、本音で話していても、思いの半分も伝わっていないかもしれません。たくさんある理由のうちの1つか2つを伝えて終わっていることも多いものです。
時には、本人ですら、本当はどこが気に入らなくて辞めたいと思っているのかよくわかっていないこともあります。
だからこそ、よくある退職理由をチェックするのは参考になります。本当はこういうところも気に入らないのではないか?このあたりはどうか?と直接聞いてみたり、探りを入れてみたりすることができます。
退職するときに、「どうして辞めたいの?」と聞いても答えてくれませんが、「やっぱり〇〇が気に入らなかったんでしょ?」とYesかNoで答えられる質問で聞くと答えてくれることも多々あります。
その中で解決策が見つかるかもしれません。まずは、社員が伝えてきた会社を辞めたい理由を鵜呑みにしないように気をつけましょう。
会社を辞めたい理由トップ3
社員が会社を辞める理由については、様々な調査があります。ここではどの調査でも必ず上位に入る辞めたい理由トップ3をご紹介いたします。
人間関係がうまくいかない
圧倒的に多いのが、人間関係がうまくいかなくて、会社を辞めたいという場合です。一言で人間関係と言っても、いろいろありますが、例えば上司の発言がパワハラに近くて辛かった、特定の人が無視していた、仕事のミスを押し付けられた、理不尽に怒られることが多かった、がんばっても認められることがなかったなどがあります。
私がこれまでお会いしてきた、社員がよく辞める会社と、社員が定着している会社を比べてみると、経営者や管理職のコミュニケーションの仕方が違うなぁと感じます。よく辞める会社では、ちょっと言い方は悪いですが、時代に追いついていないことが多いのです。
以前、「働かせてやっているのに社長への感謝が足りない!」という言葉を聞いたときには、本当に驚きました。人材不足が深刻化しているこの時代、社員には働いてもらっているという言い方をする経営者のほうが多いのに!そして、当たり前ですが、そういう経営者のほうが社員からはよく感謝されていますよね。
ここまで言う人はさすがに珍しいですが、例えば仕事を教えるときに言わなくてもわかるよね、と説明が少なかったり、部下ができたことをきちんと言葉にして認めてあげることをしなかったりということは、多いなぁと思います。
こういった場合、特に若い世代で、辞めてほしいと思われている気がした、仕事がまったくできていないので迷惑をかけていると感じて申し訳なくなった、という会社を辞める理由につながっています。
労働時間への不満
長時間労働には過労死、過労自殺、メンタルヘルス疾患など、いろいろな問題があります。あまりにも残業の多い会社は、自分の身体を守るためにもやめるべきというのが一般的な意見となってきました。
労働時間に関する不満は長いだけではありません。仕事に時間をかけすぎるというのも労働時間への不満の1つです。
わかりやすい例をあげると、パソコンでやれば数分で終わる書類作成を上司が手書きで数十分かけてやっている。しかも、新人のうちは苦労すべきだ!など、こちらにも手書きを強制してくる、というような事例があります。
ここまでわかりやすい例は少ないとは思いますが、「なぜわざわざこんなやり方をするのだろう?もっとこうすれば早いのに…」など時間の無駄と感じる仕事が多いのはストレスとなります。
また、休みが取りにくいという声もあります。今は有給休暇も100%取得するように会社が社員に促すべき!という考え方が増えてきています。一方で有給休暇を取りたいというと嫌な顔をされる、嫌味を言われるという会社も残っています。
こういった点も社員が他の会社へ魅力を感じるポイントになっていますね。特に、ちょっと前と違って、「あの会社って有休どのくらいとれるんだろう?」とインターネットで検索すれば、ある程度わかってしまいます。
労働時間と近いもので、評価方法への不満もあります。残業しているほうが、評価が高いのは納得がいかないという不満です。
きちんと仕事の中身や質を評価してくれていない、がんばるよりもダラダラ残業した方が評価されるのでやりがいを感じないというものです。
事実はどうであれ、本人がそう思っていれば不満につながりますので、評価制度の見直しだけでなく、社員への伝え方なども見直すべきですね。
特に育児をしているので定時に帰らなければならない女性からの意見として多いのは「こんなに仕事をしているのに、早く帰るから白い目で見られる」というものです。もう少しみんなにわかりやすい評価方法にしたり、仕事の内容をチームで共有したり、工夫するべきです。
仕事内容が気に入らない
この仕事が向いていない、もうこの仕事はやりたくないなど、仕事内容そのものが気に入らず退職する人も多いです。その仕事を続けることに大きなストレスを感じてしまうために辞めてしまいます。
わかりやすい例をあげると、介護施設であれば、突然怒鳴ってくる利用者の方と毎日過ごすことは辛い、おむつの交換をするのがどうしても生理的につらいなどです。
一見、解決しようがないことのように思えますが、よく見てみると気に入らないのは仕事の一部だけだったりします。そこに注目して解決できないか考えてみることがポイントです。
仕事内容が気に入らないという理由のもう1つのパターンとして、仕事そのものよりも仕事の「やり方」が気に入らないということもあります。
例えば、営業でいろいろな方と話をするのは苦ではないが、飛び込み営業だけは苦手だ、というような場合です。仕事内容が気に入らないといった場合には、仕事内容のどの部分が気に入らないのか掘り下げて考えてみることがポイントです。
会社を辞める理由として「経営者や上司の仕事の仕方が気に入らなかった」というのもランキング上位によく入っています。
これも、仕事の目的やゴールは気に入っているのに、そのゴールに行くまでのやり方が気に入らないものです。どうやってやったらいいのか、社員の意見をもっと聞いて採用できたら、違った結果になるかもしれません。
会社を辞めたい理由まとめ
社員が会社を辞めたいと思う理由は、人間関係、労働時間、仕事内容が多いです。具体的な事例をあげましたが、思い当たる節はありましたでしょうか。社内を見直したり、隠れている社員の本音を知るためにも最低限の知識として知っておくといいですよ。