残業時間に上限ができる?働き方改革で予想される法改正ポイント


働き方改革は注目ワードとなりました。中でも注目を集めているのは長時間労働の是正に関する法律の改正です。罰則もつける予定で進んでいますので、予想される法改正のポイントを抑えておきましょう。特に長時間労働が当たり前になっている会社の場合は、早目に対策を立てる必要があります。

働き方改革で目指すこと

働き方改革とは、政府が主導で進めている経済政策です。福利厚生ではなく、経済の活性化のために今の働き方を変えていこうとしています。政府は働き方改革実行計画という計画を作成し、それをもとに法律を変えていこうとしていますので、まずは働き方改革実行計画の内容を簡単に確認しましょう。

長時間労働の是正

罰則付きの法律改正をしようとしているのが長時間労働の是正です。過労自殺などで注目されていますが、日本はまだまだ長時間働きすぎて体調を崩す人がたくさんいます。長時間働かないと一人前と認めてもらえない風習が残っていたりもしますよね。

この長時間労働をなんとかしようというのが長時間労働の是正です。罰則付きの法律改正はまだですが、すでに全国の労働基準監督署では長時間労働是正のための「労働時間改善指導・援助チーム」が設置されました。労働時間相談・支援コーナーも用意されています。働いている社員ではなく、会社側が相談できる制度です。

現在の法律でも、すでに違反している会社はたくさんあります。例えばサービス残業、有給休暇の取得をさせてもらえない、36協定以上に働いているなどです。本当にホワイトな会社なんて存在しないと言う人もいるほど、日本の企業は法律が守られていないことがたくさんあります。せっかくの機会ですので、一度見直してみましょう。

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金は、同じ仕事をしているなら同じ給料をあげよう!という考え方です。契約社員と正社員で同じ仕事をしていても給料が大きく違うということが、よくあります。そういった身分で給料を帰るのではなく、仕事内容で給料を決めるべきというのが同一労働同一賃金です。

同一労働同一賃金ガイドラインというものが作成されていて、たくさんの具体的な事例をもとに、これはアウト、これはOKということが記載されています。確かに正社員はこれから長く働いてくれることが前提ですので、将来への期待も込めて高い給料になっていることが多いですが、将来への期待という漠然とした理由はアウトとされています。将来への期待があるから少しだけ契約社員の人とは違う仕事をしていて、それで給料が高いという説明ができるようにすることが必要です。

労働生産性の向上

労働生産性とは、簡単にいうと仕事の密度です。たくさん残業をして1ヶ月で成し遂げた仕事量をあげていくのではなく、1時間でできる仕事の量を増やそう!という考え方です。

法律が具体的に変わるわけではありませんが、助成金がすでに変更されています。労働生産性が高い働き方に変わった場合は、もらえる助成金の額が高くなるようになっています。助成金に挑戦する方はぜひ労働生産性も計算してみてください。

労働生産性って?

労働生産性がどういうものかというと、例えば、月200時間働いて売上200万円だった人が、月300時間働いて売上250万円になったとします。一見、業績が上がっているようにも見えますが、1時間あたりの売上は下がっていますよね。残業代や割増賃金を合わせて計算すると業績が下がっている可能性もあります。

とある会社の社員の方が「出世をするためには上司と一緒にいる時間をとにかく長くすることが大切だ」といっていました。ダラダラ仕事をしてずっと会社にいるそうです。さらにたくさん仕事をさせられるのは嫌なので、忙しいです!頑張っています!という雰囲気まで醸し出している。そうすると上司からは気に入られて出世もできるし、残業代ももらえて一石二鳥だそうです。こういう社員、みなさんの会社にもいませんか?

柔軟な働き方

柔軟な働き方については、とてもたくさんの計画が立てられています。ですが、長時間労働の是正のようにかなり具体的な改正内容が書かれているのではなく、あくまで方針を固めたという程度です。柔軟な働き方がなぜ必要なのか、何をするべきなのかを意識しておき、法律改正に備えておきましょう。

柔軟な働き方が業績につながる理由は?

少子高齢化が進んで、これまでのようにいくらでも残業できる人の割合が減ってきました。中小企業では、たくさんの会社で人手不足に困っていて、いろいろな事情を抱えた人も雇わなければ、人材の確保が難しい時代になってきました。嫌だなぁ、困ったなぁという会社も多いですが、なぜ「嫌だ」「困った」と思ってしまうのかを考えたことはあるでしょうか。

実は、少子高齢化が進んでも人材不足に困っていない会社は、社員が柔軟に働ける「働き方」をしていることが多いです。社員が産休になった、急に早退した、残業ができなくなった、多少困ることや配慮することはあるけれど、頭を悩ませるほどではない。相談してやりくりすることは必要だけど、特に問題なく仕事は進めることができるのです。

人材が確保できずに事業を縮小する会社もでてきました。柔軟な働き方を身に着けて、強い経営をしていくことで、これからの時代は生き残りやすくなります。働き方改革実行計画においては、柔軟な働き方に変えていけるように相談できる制度や、変えていくために必要な助成金などの計画を立てています。ぜひ活用していきましょう。

長時間労働は何時間から法律違反になる?

では具体的に何時間以上働けば法律違反になり、罰則になるのかをみてみましょう。法律改正はまだですが、働き方改革実行計画では具体的な数字が定められました。おそらく、これをもとに法律改正がされますので、準備しておきましょう。

長時間労働の上限

時間外労働の上限は、月45時間、年間360時間

ただし、一時的な業務量の増加がやむを得ない特定の場合の上限については

(1)年間の時間外労働は月平均60時間(年720時間)以内

(2)休日労働を含んで、2か月ないし6か月平均は80時間以内

(3)休日労働を含んで、単月は100時間未満

(4)月45時間を超える時間外労働は、年半分を超えないこと

過労死のラインを知っておこう

長時間労働の上限で使われている時間外労働の時間は、いわゆる過労死のラインになっています。時間外労働とは、週に40時間以上働いた時間のことをいいます。週に40時間だと、単純計算で月170~175時間くらいになりますので、月45時間の時間外労働をするということは、月215~220時間くらい働くことになります。

過労死とは病名ではなく、実際には脳や心臓疾患などになりますが、この脳や心臓疾患と仕事をしている時間に関係性があるという医学的な根拠があるのです。

月45時間は過労死の要注意ラインと言われています。1ヶ月の時間外労働が45時間を超えたあたりから、時間が増えるほど脳や心臓疾患との関連性が徐々に強くなるとされています。さらに、80時間や100時間は危険ラインです。80時間や100時間働くと、脳や心臓疾患との関連性が強いとされます。

現在でも、労災認定ではこの数字が使われています。つまり、月45時間がずっと続いていたり、80時間や100時間時間外労働をしていた場合、脳や心臓疾患になったり、過労で自殺をしてしまったという時に労災として認定される可能性が高くなります。

長時間労働の罰則って何?

では、社員に長時間労働させたときの罰則はどのようなものになるのでしょうか。罰則の内容までは決められていませんが、労働基準法には罰則という項目がありますので、参考までに見ておきましょう。この中のどれかに該当するかもしれません。

労働基準法にある罰則4パターン

労働基準法で一番重たい罰則は、「1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金」です。これは「強制労働の禁止」という規定だけに使われている罰則です。

次に重たい罰則は「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。小さな子どもを働かせたり、女性や子どもに坑内労働させた場合の罰則になります。こちらも該当する場合は少ないですね。

次に、「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」です。このあたりからブラック企業は該当している会社が多いのではないでしょうか。解雇できない人を解雇した、休憩時間を与えていない、有給休暇をとらせてくれない、産休育休をとらせてくれないなどです。

最後に一番多いのが、「30万円以下の罰金」です。該当するものが多いですが、就業規則や労働者名簿、賃金台帳などの書類をしっかり作成し、届け出が必要なものは届け出をし、保存しておく、ということができていない時の罰則です。他にも、契約期間が違法、労働時間に関する届け出をしていないなど、多数あります。

労働時間の管理は早目に取り掛かろう

働き方改革の法律改正のポイントをお伝えしました。法律が改正するときには、必ずと言っていいほど助成金があります。使えるものはどんどん使って下さいね。

罰則がつくと言われてもすぐに働く時間を減らすのは難しいでしょう。特に今の業績を維持したまま、もしくは業績を上げ続けながら働く時間を短くするには、やり方の工夫が必要です。このサイトの内容を参考にしながら取り組んでみてくださいね。

自分の会社にあったやり方を知りたい方はこちらからどうぞ